養父蒸溜所


















養父蒸溜所(Yabu Distillery Restaurant)

2023年7月からジャパニーズシングルモルトウイスキーの蒸溜を開始した、養父蒸溜所が運営するレストランのデザイン。
ウイスキーを連想させるブラウンの色調をベースに、大麦の製麦から製造・蒸溜・熟成を間接的に体感出来る様に考えた。
大きく軒を設けたファサードの左官は、廃棄される麦芽を混ぜシンプルながら奥行き感が感じられる様にした。
また樽で使用されるオーク材で作った1階・2階の軒天井には、整列した裸電球を連続させる事で、
行き交う人々へのアイキャッチと賑わいを表現。
エントランスの吹き抜けには、ポットスチル(単式蒸溜器)をイメージした銅の照明オブジェクトを設け、
どの場所にいても空間の繋がりを体感できる様に意識する。
そしてオブジェクトから1階へ繋がる銅のパイプにはおすすめのウイスキーを注ぎ、香りを体験出来るフラスコを用意し
パイプ内で蒸溜される感覚を表現。
その対面には養父蒸溜所で日々更新される、試作のボーンウイスキーを並べ、間接照明で演出する事で、
自社ウイスキーのブランディングを計る。
客席について、コース料理を楽しめる1階は天井の低さを利用しオーク樽の中に入った様なイメージで構成し、
アラカルトを楽しめる2階は、製造工場内の休憩所をコンセプトに、ビニルカーテンとギャップのあるアンティーク家具で構成する事で、
ラフな感じを残しつつも新しい感覚になればと考えた。
また、渡り廊下の先のテーブル席は、銅のオブジェクトが存在する事で周囲の目線を程よく遮断し、半個室の様な場所になる。
レイアウトされた一つ一つに形以外の意味を持たせる事で、
利用者にとって強く印象に残る養父蒸溜所自身のブランディングに繋がればと強く思う。

養父蒸溜所(Yabu Distillery Restaurant)
Type / whisky restaurant
Place / 4-10-18 minamisemba chuoku osaka japan
Floor area / 118㎡
Complete / January.2024
Green / tainaka masahiro
Photo / takeshi asano